大手SIer企業の光と影:実際に10年働いて感じたデメリット

大手SIer企業の光と影:実際に10年働いて感じたデメリット

大手SIer企業は、キャリアのステップアップや安定した収入を求める多くの人にとって、魅力的な選択肢です。

しかし、その一方で、実際に働いてみると予想外のデメリットに直面することも少なくありません。

この記事では、大手SIer企業で10年働いた私が、実体験を基に解説します。

これから就職・転職を考えている方にとって、この記事が参考になれば幸いです。

目次

長時間労働(残業の多さ)

業界・職業柄、残業時間は多い

システム開発の納期やクライアント対応のために、長時間労働になりやすいと言われますが、実際にそうです。

製造業全般にいえるかもしれませんが、規模が多きなプロジェクトほど、開発スケジュールは予定通りに進むことはなく、その遅延をリカバリするために、残業が多くなります。

この遅延のリカバリによる残業が圧倒的に多いです。

厚生労働省の「労働時間等総合実態調査」でも、IT業界は他の業界と比較しても労働時間が長い傾向にあることが示されています。

私の同期でも、残業時間の多さが理由で退職するパターンが1番多いです。

ここ数年で残業時間は減る傾向にある

ただし、世の中的な働き方改革の流れもあり、ここ数年で残業時間は減少傾向にあるように思います。

私のシステムエンジニア人生10年で、年間残業が1番多かったのが「2年目の約500時間」でしたが、10年目は約350時間でした。

年間残業350時間も十分多いですが、若手の頃からすると150時間減っています。

ちなみに、私の1~10年目の年間残業時間(+年収)は、以下の記事で公開していますので、気になる方はお読みください。

対価(残業代)が支払われるなら、残業が多くても構わない

一方で、残業代がキチンと支払われるなら、残業が多くても構わないという人もいますし、自分もそのタイプです。

私が大企業で働く目的は、高い給与を得ることが最優先。

年収が上がるなら、残業も構わないというスタンスです。

大企業のほうが、残業代未払のリスクが少ない

厚生労働省が実施している「労働基準監督年報」や「賃金不払残業是正結果」などの調査によると、賃金不払残業の指導を受けた事業所の多くが中小企業に集中している傾向が確認されています。

具体的には、中小企業は人手や資金の余裕がないことが多く、法令遵守が十分に行われていないケースが比較的多いとされています。

例えば、厚生労働省が公表した「賃金不払残業是正結果」では、全国の労働基準監督署が指導を行った賃金不払残業のうち、特に中小企業において是正指導が行われた事例が多く報告されています。

大手企業では法令遵守のための体制が整っている場合が多く、コンプライアンスの意識も高い傾向がありますが、中小企業ではこれが不十分なことが少なくありません。

もちろん、すべての中小企業が未払い問題を抱えているわけではありませんが、統計的に見て、リスクが高い傾向にあることは事実です。

ちなみに、私の2年目、年間残業が約500時間だったころ、残業代は全額支給されました。

プログラミングスキルは向上しない

大手SIerのエンジニアは、プログラムを書かない

大手SIer企業では、プロジェクト管理が非常に重要視されており、エンジニアであっても管理業務に多くの時間を割くことが求められます。

プロジェクトの進捗状況を管理し、リスクを予測して対策を立てることは、プロジェクトの成功に不可欠ですが、このような業務が多くなると、プログラム(システム開発)に割ける時間は無いです。

総務省の「働き方改革に関するデータ」では、大手企業ほど管理業務が増加していることが報告されています。

私の実例でいうと、3年目まではプログラムを書く仕事もしていましたが、その後、プロジェクトリーダーになって以降は、全くプログラミングしなくなりました。

1番使うアプリは、Microsoft Office

私が現職で最も触ったアプリケーションは、プログラミングのためのエディタ・統合開発環境ではなく、PowerPointやEXCEL、タスク管理ツールがほとんどです。

プログラミングをしたくて入社した人にとって、PowerPointやEXCELがメイン業務になる環境はフラストレーションになるでしょう。

でも、見方を変えると、PowerPointやEXCELを触って過ごして、年収1,000万を超えるって凄くないですか?

つまり、プログラミングができなくても、大手SIer企業でシステムエンジニアをすることは可能なのです。

社内資料を作る文化が未だにある

報告会議が多く、その準備が手間

大手IT企業には、プロジェクトの進行状況や成果を報告するための会議が多いです。

その会議で使う報告書やプレゼン資料の作成には、多くの時間と労力を要するため、それがストレスになることもあります。

社内資料を作る文化が残っている観点からも、PowerPointやEXCELを触る機会が多いのが分かりますよね。

誰も読まない資料を作る

企業内でのコミュニケーションや意思決定に欠かせないものですが、会社の偉い人たちは作った資料を数秒しか見ないことも多いです。

端的にいうと、実際にはほとんど見ない報告資料を、数人が数週間かけて一生懸命作るイメージ。

これもまた、エンジニアとしての成長や仕事のやりがいに影響を与える可能性があります。

入社前はプログラミングをする気満々でいたが、入社後の社内資料を作る機会の多さから、辞めていく人が多いのも事実。

結論:プログラムしたい人は大手SIerは避けよう

大企業で働くことはデメリットも多い

大手IT企業で働くことは、多くのメリットがありますが、同時に見逃せないデメリットも存在します。

長時間労働や管理業務の増加、スペシャリストとしての成長の難しさ、そして社内資料作成の負担など、これらの課題はキャリアに影響を与える可能性があります。

これらのデメリットを理解し、自分のキャリア目標に合った選択をすることが重要です。

大手SIer企業で10年働く私が1番言いたいことは、自らプログラムを書いて、自分のサービスを作りたい人は、大手SIer企業を目指してはいけません。

スペシャリストよりゼネラリストへ

大手IT企業のシステムエンジニアは、プロジェクト管理をはじめとする幅広い業務を担当することが求められるため、特定分野(プログラムやAIなど)に専念することがが難しくなります。

つまり、スペシャリストとしてのキャリアパスは停滞気味になるので、そこは割り切って、ゼネラリストを目指すことをオススメします。

大企業SIerが、多くの知識・技術を浅く幅広く吸収し、問題解決能力、プロジェクトの管理能力を磨ける環境だと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次